中世芸術の宝庫「ランジェ城」とフランスの最も美しい村
chaco
初めまして。ワーホリ・語学留学を経て、今はフランス人パートナーとパリに住んでます。夢は田舎に家を買って自分でリノベーションして暮らすこと!
先日、連休を利用してパリからロワール地方へ週末のプチ旅行へ行ってきました。
ロワール地方と言えば古城。
今回の旅行ではシャンボール城やシュノンソー城のような有名所は訪れず(以前に訪問しているので)、けっこうマイナーなお城ばかりを回りました。
聞いたことのないお城が多いかと思いますが、いくつかの記事に分けて紹介していきます。
今日は「ランジェ城」と「フランスの最も美しい村」に登録されている村をご紹介したいと思います。
ロワール地方についての他の記事はこちらから。
今回の旅行で訪れたお城や街をマップにまとめたので、位置関係など知りたい方はぜひご覧ください。
中世芸術の宝庫「ランジェ城」
ランジェ城は以前に紹介した、庭が美しいヴィランドリー城から車で15分ほどのところにあるお城です。
ランジェ城最後の個人領主が中世美術の愛好家で、20年近くもかけてお城の修復と装飾を手直ししたため、多くの中世芸術のコレクションを展示するお城となっています。
また、「シュリー=シュル=ロワールとシャロンヌ間のロワール渓谷」として世界遺産にも登録されています。
ランジェ城の歴史
ランジェ城の歴史は994年にアンジュー伯フルク・ネラによって建てられた要塞から始まります。
その中でも主塔は今現在も残っていて、ロワール地方でも最も古い塔と言われています。
1000年以上も前に建てられたものがいまだに残っているなんて、本当にすごいことですよね。
10世紀から11世紀の間には要塞は何度も破壊され、そのたびにアンジュー家によって建て直されてきました。
アンジュー家は権力を拡大させ、1194年にはアンジュー伯アンリがイングランド国王とまでなりますが、1206年にフランスとの戦いに敗れ、ランジェ城はフランス王室のものとなります。
その後1465年、ルイ11世が新しくお城を建設します。
この時建てられたお城と最初に建てられた要塞部分とでランジェ城は構成されています。
1765年にはリュイヌ家の手に渡りますが、1797年にリュイヌ家が消滅してからはさまざまなブルジョワたちが領主となります。
最後に、繊維業で財を成したジャック・ジークフリートが1886年にランジェ城を購入し、お城の修復に注力します。中世芸術の愛好家だった彼は、中世の家具や調度品で内部を装飾しました。
その後1904年に、ランジェ城は国に寄付されました。
ランジェ城で起こった歴史的出来事
様々な人の手を渡り歩いたランジェ城ですが、ランジェ城で起こった最も重要な歴史的出来事と言えば1491年のシャルル8世とアンヌ・ド・ブルターニュの結婚式です。
その背景には国家間の権力をかけた争いがありました。
当時、現在のフランス ブルターニュ地方とロワール地方の一部を含むブルターニュ公国は独立した国家でした。
ブルターニュ公の娘であるアンヌ・ド・ブルターニュは、ゲランド条約によって男系子孫による公位継承が決められていたにもかかわらず、後継者として認定されます。
これにより、ブルターニュ公国を狙ってアンヌとの結婚を目論む者たちによる激しい競争が起こりました。
1488年にブルターニュ公はサン・トーバン・デュ・コルミエの戦いに破れ、フランス王の許可なしにブルターニュ公の娘たちを結婚させてはいけないとするヴェルジェ条約を結びます。
ブルターニュ公が亡くなりブルターニュ公位を継承したアンヌは、当時ローマ王だったハプスブルク家のマクシミリアンと代理結婚しますが、フランス国側がヴェルジェ条約に違反するとして反発し、戦いに発展します。
1491年にフランス国が勝利をおさめると、シャルル8世はマクシミリアンの娘と婚約していたにもかかわらずアンヌに求婚し、同年12月6日、ランジェ城で二人の結婚式が行われました。アンヌが14歳のときです。
アンヌとマクシミリアンの結婚や、シャルル8世の婚約など、ヨーロッパにおけるフランスの地位低下に関わる問題があったため、結婚式は緊急で秘密裏に行われたそう。
この結婚によりブルターニュ公国はフランスのものとなりました。
その後アンヌとマクシミリアンの結婚はなかったものにされています。
14歳という年齢で政略結婚させられてしまったアンヌ。
このロンジェ城ではヨーロッパにおける領土争いの大きなポイントとなる政略的結婚の婚礼が行われたわけですね。
見どころ
庭
小さいですが、丁寧に手入れされた庭があります。
庭の後ろには要塞の一部が残っていて、後ろに足場が組まれています。足場を登るとお城と庭がきれいに写真に収められるので、写真を撮りたい方はぜひ登ってください。
幾何学模様の庭とお城がいい感じに撮れました。
中世の調度品のコレクション
城内の各部屋には、タピスリーや家具など中世のものが展示されています。
シャルル8世とアンヌ・ド・ブルターニュの結婚式の再現
婚礼の間には結婚式の場面が再現されていて、ナレーションとライトアップによる演出が行われています。
人形は少し不気味でしたが、個人的には歴史がよくわかって意外と楽しめました。
イスに座って観ることが出来ますよ。
ランジェ城は歴史的に重要な出来事があった場所で、歴史の勉強にもなって楽しかったです。
こじんまりしたお城なので、見学にはそれほど時間はかからないと思います。
information
- 入場料
- ◇4月1日〜11月11日
- 大人:11€
- 18歳〜25歳:9€
- 10歳〜17歳:5,5€
- ◇上記以外の期間
- 大人:10€
- 18歳〜25歳:8€
- 10歳〜17歳:5€
- 10歳以下:無料
公式サイト:Château et parc de Langeais - Site officiel
フランスの最も美しい村
フランスには「フランスの最も美しい村」という協会があり、特定の条件を満たし審査を通った村が登録することが出来ます。
小さな村を観光により活性化させる目的で作られたもので、登録されている村はいかにもフランスの田舎町といった雰囲気でとてもかわいいんです。
小さな村ばかりで1周回るのにも時間はかからないので、車で旅行するときは休憩がてら寄るのにちょうどいいですよ。
ラヴァルダン / Lavardin
高台に城跡がある村です。
ラヴァルダンはパリからロワールの古城群に向かう途中に位置しているので、行きに寄り道しました。
村の見どころとしては城跡の他に教会がありました。城跡は入場料4€でした。
村にはテラス席のあるパン屋さんがあったので、休憩にぴったりでした。
コーヒーを頼んだらカヌレが付いてきました。太っ腹!
もっちりしていて美味しかったです。
カンド・サン・マルタン / Candes-Saint-Martin
ヴィエンヌ川とロワール川の合流地点にある村です。
小道を10分ほど登っていくとパノラマポイントがあり、2つの川を眺めることが出来ます。
ここでヴィエンヌ川はロワール川に吸収され、ロワール川は大西洋まで流れていきます。
ロワール川はフランスで最も長い川だそうです。
街の中心にはCollégiale Saint-Martin de Candesというカトリック教会がありました。
村の中はバラの花がたくさん咲いていたり、家の庭先にもたくさん緑があって明るくて可愛らしい村でした。
最後に
今日はランジェ城とフランスの最も美しい村を2つ紹介しました。
ランジェの街について紹介するのを忘れましたが、こちらも可愛い街でした。レストランなどもいくつかあるので、お城を見学がてらランチをするにもぴったりです。
まだまだ紹介したい場所があるのでまた別の記事で紹介していきますね。